Xuan Bui氏

 米Hewlett-Packard(HP)は2003年下期に,米Intelの64ビット・プロセッサ「IA-64」を最大64CPU搭載できるサーバーを投入する。同社Vice President & General Manager Enterprise Unix DivisionのXuan Bui氏(写真)が明らかにした。ただし現行のItanium 2ではなく,第三世代のMadison(開発コード名)で提供する予定である。

 HPは現在,Itanium 2の2CPU,4CPU版サーバーを提供している。最大32CPUを実現しているNECなどに比べ,遅れをとっているといってもよいだろう。そこへ,2003年に64CPU,2004年に128CPUを,その後256CPUまでの製品を投入し,「他のプロセッサに比べて高性能で,かつ,スケーラビリティに優れるIA-64サーバーを提供することで,メインフレームの置き換えを狙っていく」(Xuan Bui氏)。「いまだにメインフレームがかなりのシェアを持っている日本では特に,(メインフレームの置き換えという)ビジネスの機会がある」(同氏)と考えているからだ。

 実は,既にHP社内では64CPUサーバーが稼働しているという。しかし,それは現行のItanium 2であり,2003年下期に投入するのは,次世代のMadison(開発コード名)になる予定だ。「Itanium 2を使う64CPUのものは(市場には)出さない」(同氏)。一つの理由は,重要なミドルウエアがまだそろっていないこと。「(Itanium 2を使った64CPUサーバーは)プロトタイプ・バージョンであり,Oracleなどの主要ISVがテストやチューニングを行っているところ」(同氏)である。「Madisonは2003年の夏には提供されるので,(64CPUサーバーを)出荷するときに一番速いCPUを使う」(同氏)。そのため,現在Madison用のチップ・セット「CEC(Central Electronic Complex)」を開発中だ。

 2003年に投入するのは,PA-RISCが最大64CPU搭載できるサーバーとして現在出荷している「superdome」用のボードである。PA-RISCとIA-64は基本アーキテクチャが共通であるため,ボードの交換だけでIA-64サーバーとして利用できる。OSとしては,hp-ux,64ビット版Linux,Windows .NET Serverが稼働する。複数のパーティションを持たせることが可能で,複数種類のOSを同時に動かすこともできる。

 IA-64搭載サーバーが普及するためには,やはりRDBMSやWebアプリケーション・サーバーといったミドルウエアが対応してくれることが大切だ。Xuan Bui氏は,「主要なISVは,2003年の第3四半期にはそろってくると期待している」と語る。

(小原 忍=日経オープンシステム)