トリップワイヤ・ジャパンは,データの“完全性”を保証するためのソフトウエア「Tripwire」の新版,3種類を出荷開始した。サーバー上のデータの不整合をチェックする「Tripwire for Servers 3.0 日本語版」では,不整合の発見をトリガーに,任意のプログラムを実行する機能を追加した。同製品および管理コンソールの「Tripwire Manager 3.0 日本語版」を2002年9月24日に,ネットワーク機器の設定情報をチェックする「Tripwire for Network Devices 2.0」を2002年9月20日に出荷した。

 Tripwire for Serversは,サーバー上のデータが変更されていないかをチェックして,通知する機能を備える。これにより,外部からの改ざんだけでなく,管理者の操作ミスなどを発見することも可能になる。対象データは,サーバー上にあるファイル,UNIXやWindows上のOS設定ファイルやレジストリなど。対応OSは,Windows NT4.0/2000/XP/,Solaris 2.6/7.0/8.0,hp-ux 11.0/11i,IBM AIX 4.3/5.1である。

 Tripwire for Serversでは,まず(1)正しい状態にあるデータのハッシュ値やタイム・スタンプといった情報を,あらかじめデータベースに格納しておく。(2)任意のタイミングで,現状データの情報を(1)の情報と比較し,変更や追加,削除が認められた場合は,レポートや電子メールなどで通知する。

 新版の3.0では,不整合を発見した際に,任意のプログラムを起動する「Integrated Command Execution(ICE)」と呼ぶ機能を追加した。対象ファイルや起動するプログラムは,あらかじめポリシー・ファイルに設定しておく。これを使えば,「WWWのトップ・ページの改ざんを発見した場合に,あらかじめバックアップしておいた正規ファイルを自動的に上書きコピーしたり,サービスを停止したりすることなどが可能になる」(SE マネージャー 永谷剛一氏)。

 その他,「ポリシー作成ウィザード」と呼ぶ機能を新たに提供し,ポリシー・ファイルの設定作業を容易にした。Tripwire for Serversでは,OS関連のファイルなどは,あらかじめ監視対象としてポリシー・ファイルに登録されている。しかし,ユーザー・アプリケーションなどを監視対象に加えるには,ポリシー・ファイルにスクリプトを追加登録する必要がある。「ポリシー作成ウィザード」が提供するGUIを使うことで,ポリシー・ファイルへの登録作業が省力化できる。ただし,この機能は,Windows版とSolaris版にのみ付属する。

 Tripwire Managerは,Tripwire for ServersをGUIから管理するためのツールであり,最大2500台のサーバーを集中管理できる。従来までは監視対象サーバーを一覧表示していたが,新版の3.0では,部署や機能といった単位でグループ化して表示できるようにした。また,選択したサーバーのみに関する変更状態のサマリーを表示することも可能。対応OSは,Windows NT4.0/2000/XP,Solaris 7.0/8.0。

 Tripwire for Network Devices 2.0は,従来の「Tripwire for Routers and Switches 1.1」の後継製品。ルーターやスイッチ,ファイアウオールなどのネットワーク機器の構成ファイルをチェックする。Tripwire for Serversと異なり,構成ファイルそのものをデータベースで管理し,ファイルに不整合がないかを比較する。対応ネットワーク機器は,米Cisco Systems,フィンランドNOKIA,米Hewlett-Packard,米Foundry Networks,米Extreme Networks,ヤマハ,NECなどのネットワーク機器(いずれも2002年9月20日現在)。基本的には,テキスト・ベースで構成情報を持つ機器に対応しているが,日本市場向けのネットワーク機器については,順次サポートを行う予定。

 価格は,Tripwire for Servers 3.0が19万8000円,Tripwire Manager 3.0が185万円,Tripwire for Network Devices 2.0が98万円。いずれも初年度のサポートおよびメンテナンス料金を含む。

(岡本 藍=日経オープンシステム)