トウキョウフォレックストレイダーズ証券はLinuxによるネット・トレーディング・システムを構築した。データベースにはOracle,サーバーOSにはMIRACLE LINUXを採用。8台のLinuxサーバーで構成する。2002年5月1日から,このシステムにより,インターネットで先物取引やオプション取引ができるサービス「ネットインデックス」を提供する。

 同社ではすでに先物取引情報配信サービス「リアルタイムE-Board225システム」をOracleおよびMIRACLE LINUXを使用し構築しているが,今回のシステムは配信だけでなく取引も行う。システム構築は,E-Board225システム構築と同じく,関連会社のイ・システムが担当した。開発期間は2001年の6月から9カ月間。設計フェーズに6名が9カ月,開発フェーズに15名が4カ月を費やした。開発費用は1億円超。アプリケーションはJavaサーブレットなどで開発した。設計はUML(Unified Modeling Language)に基づいて行った。また,開発ツールにはJBuilderを使用した。

 ネットインデックスの特徴は大きく2つ。(1)大阪証券取引所の日経平均株価指数先物取引(日経225先物)と日経平均株価指数オプション取引(日経225オプション)のインデックス・デリバティブ取引をインターネット上で提供すること,(2)取引の証拠金計算方式に,シカゴ・マーカンタイル取引所が開発した「SPAN(Standard Portforio ANalysis of risk)」を使用することだ。サービス開始後,2002年度中に3000口座,預かり高150億円を目指す。将来的には,大阪証券取引所や他の証券会社システムと連携する。

 複数商品を組み合わせて一括で購入するというデリバティブ取引特有の購入方法,システム構築の前例がないSPAN計算など,同社にとってもイ・システムにとっても初めての業務のため,「最適な仕様がなかなか固定しなかった」(イ・システム 取締役 ITコンサルタント 奥山泰全氏)。2001年12月までに結合テストまで終了させ,その後の3カ月間は実際にシステムを動かしながら最適な仕様を固めたという。

井上 英明=日経オープンシステム)