日本医師会は2002年2月28日,同会が開発した診療報酬明細計算システム「日医標準レセプトソフト」(開発コード名ORCA)をオープン・ソース・ソフトウエアとして公開した。同ソフトのホームページでダウンロード方法や技術資料を掲載している。LinuxなどでのライセンスであるGPL(GNU Public License)をベースにした,「日医オープンソース使用許諾契約」というライセンスに基づき配布する。ライセンスを変更しない,改良したソース・コードを入手できるようにするなどの条件を守れば,システム・インテグレータなどはORCAのプログラムを改良したり有償でサービスを提供したりできる。ただし医薬品や併用禁忌などのマスター・データについては,健康や治療への悪影響を避けるため,改変して再配布することを禁じている。

 ORCAは,OSにLinux,トランザクション管理モニター(TPモニター)にMONTSUQI(開発コード名panda),開発言語にOpenCOBOL,RDBMSにPostgreSQLを使用するなど,すべて無償のオープン・ソース・ソフトウエアで開発したシステム。47都道府県の100以上の医療機関で実証実験を終え,2002年4月に本稼働を開始する。診療報酬を処理するだけでなく,医療機関をネットワーク化することで,今後,電子カルテなどITを駆使した医療の高度化を目指すという。

高橋 信頼=日経オープンシステム)