日本IBMは2002年2月20日,同社のメインフレーム「zSeries」シリーズに新機種「IBM eserver zSeries 800(z800)」を追加し,3月29日より出荷すると発表した。z800は,上位機種「eserver zSeries 900(z900)」の主要な機能を引き継いだまま,WWWシステム向けに機能を絞ったOSの提供などにより低価格化を図った製品。zSeriesのエントリ・モデルとして位置付けられる。

 z800は,z900から(1)64ビット・アーキテクチャ,(2)クラスタ接続機能である並列シスプレックス環境,(3)複数CPUの実装技術であるマルチ・チップ・モジュール(MCM),(4)1台のマシンで複数のOSを同時に稼働できるパーティショニング機能,などを継承した。さらに完全空冷システムを採用することで,きょう体をスリム化した。

 ハードウエアのタイプは,機器構成により9種類を用意する。処理性能は40MIPSから645MIPSまで。価格はオープン価格だが,「処理性能がz900と比較して5分の1の場合,価格も5分の1と考えている」(エンタープライズ・サーバー製品事業部 理事 星野裕氏)と言う。

 z800で稼働するOSには,従来からのz/OS,OS/390,z/VM,VSE/ESA,Linuxなどに加え,新OSのz/OS.eを用意する。z/OS.eは,既存のz/OSから機能を限定したOSであり,価格を約10分の1に抑えた。限定された機能には,COBOLやPL/1での開発ができない,階層型データベース管理システムIMSやトランザクション処理モニターCICSが動作しない,などがある。

 z/OS.eを利用することで,Webアプリケーション・サーバーWebSphereやグループウエアDominoを使う場合のコストが下げられる。WWWシステムをメインフレーム上で動作させる意義については「パーテイショニング機能を持つz800であれば,サーバー・マシンを1台に統合して運用コストを削減できる」(同氏)ことを挙げる。

井上 英明=日経オープンシステム)