コンパックコンピュータは2002年2月19日,"ブレード"型のPCサーバー「Compaq ProLiant BL」製品群を発表した。

 ブレードとは「刀身」の意味。ボード上にCPUやメモリーなどを搭載したサーバーで,3Uの大きさのラックマウント型の箱に垂直に差し込んで利用する。通常のサーバー機と比べて省スペースで省電力になる,というメリットがある。価格は,最小構成で110万円から。ブレード型のサーバーは1枚30万円。2002年3月下旬から順次出荷する。

 ブレード型サーバーの主なターゲットは,多くのサーバーを設置する必要のあるISP(Internet Service Provider)やASP(Application Service Provider)など。高さ3Uのラックマウント型サーバーのサイズに最大20サーバーが搭載可能。狭いスペースに効率良くサーバーを設置できる。また,モバイル向けの省電力型CPUを採用しているため,電力消費量も低い。

 今回発表されたブレード型サーバーは,従来のサーバー機の置き換えを狙った製品ではない。「ISPやASPのニーズを満たすために作った製品」(同社 エンタープライズビジネス統括本部IAサーバー製品本部製品企画部部長の香取明宏氏)である。現状ではサーバー・コンポーネントの冗長化が行われておらず,サーバー単体の可用性は低い。拡張性も低い。

 また,1CPUのサーバーであるため,データベース・サーバーやアプリケーション・サーバーのように1台のサーバーで高いパフォーマンスが求められる用途には向かない。ブレード型サーバーが向くのは,複数台のサーバーを並べて処理を分散させる方法が採りやすいWWWサーバーである。

 今回発表した製品は,(1)ブレード型サーバー「ProLiant BL10e P700ULV」(30万円),(2)ボードを格納する「ProLiant BL e-Class サーバブレードエンクロージャ」(50万円),(3)ネットワーク・ケーブルを配線するための「RJ-45 パッチパネル インターコネクトトレイ」(30万円),「RJ-21 パッチパネル インターコネクトトレイ」(30万円),「ProLiant BL e-Class C-GbE インターコネクトスイッチ」など。

 ブレード型サーバーでは1枚のボードに,CPUは1個,メモリーは512Mバイト,ハード・ディスクは30Gバイト,を搭載している。今後,2CPUや4CPUのブレード型サーバーを提供する計画がある。OSは,Windows 2000 ServerとLinuxが稼働する。

 同時に,サーバーの運用管理ソフト「Rapid Development パック」を発表した。これまで同社のサーバーに無償添付していた管理ソフト「Compaq Insight マネージャ」などに加え,サーバーに対する各種設定やソフトウエアのインストールなどを行うソフトウエア。このソフトとブレード型サーバーを同時に使うことで,サーバーの故障を検知し,サーバーを交換するだけでアプリケーションを再開させる,といった使い方ができる。

 ブレードを差し込むことでサーバーとして利用可能になり,あらかじめ設定していたアプリケーション・プログラムのロードまで行うことができる。単体製品を出荷する予定はあるが,現状では,ボードを格納する「ProLiant BL e-Class サーバブレードエンクロージャ」に同ソフトの20サーバー・ライセンスが付いた製品(80万円)のみが提供される。

松山 貴之=日経オープンシステム)