電子商取引推進協議会(ECOM)は2002年2月18日,2001年における電子商取引に関する市場規模・実態調査の結果を発表した。

 これによれば,インターネットを使った企業間電子商取引(BtoB)に絡む取引金額の推計は,約34兆円であり,昨年の調査における推計から約58%アップした。電子商取引化率の平均は,昨年推計の約4.14%から約5.04%になった。

 ただし今回の調査では,新たに「金融・保険サービス」や「情報処理・ソフトウェア関連サービス」などのサービスを対象品目に追加している。これらを除いた分,つまり昨年と同じ対象領域では,取引金額の推計は約33.6兆円であり,約56%の伸び。電子商取引化率の平均は約6.57%となる。

 調査は,ECOMと経済産業省,およびNTTデータ経営研究所が共同で実施。2001年9月から2002年1月にかけて,5275社を対象にアンケートの送付と聞き取り調査を行った。アンケートの有効回答は375件,聞き取り調査は約100件である。1998年分から毎年1回ずつ実施しており,今回の調査は4回目となる。今回の結果を経済産業省では,取引金額における前年比約60%の伸びを指して「e-Japan重点計画が目標とする電子商取引市場の成長をクリアするもの」と評価した。

 ただ,ここでいう取引金額とは,インターネット技術を使った商取引が何らかの形で関係して,成約に結びついたものすべてが入る。例えば「在庫情報をWWWブラウザで見て電話で購入」といった場合も取引金額に加えられる。金額への見方は「電子的に取り引きされる機会が広がったという指標」(NTTデータ経営研究所 シニアコンサルタント 飯塚和幸氏)に過ぎない。絶対額が問題なのではなく,サプライ・チェーン・マネジメントなど電子商取引によるメリットを実現する機会が増えてきている,と捉えればよい。

 機会の広まりを見るには,電子商取引化率(分子を取引金額,分母を中間需要と最終需要の関連部分との合計金額とした比率)の方が参考になる。平均で見れば,前回調査分の領域では,約4.14%から約6.57%となっており,全体としてはごくわずかだが,伸び率は高い。

 取引品目別に見ると,最も高い比率の自動車では,昨年の約16.10%から約30.52%に伸びている。次いで,電子・情報関連機器は,約18.89%から約24.19%であり,伸び率はやや落ち着きを見せる。一方で,産業関連機械・精密機械が約0.20%から約1.77%へと,昨年の予測よりも高い伸び率になっている。化学も同様な傾向がある。

 また今後も予測通りに伸びていくための条件としては,「標準化や中小企業への浸透」(飯塚氏)を挙げる。今回の調査で,BtoBの阻害要因として,(1)運用・維持コストの高さ,(2)データ・フォーマットなどの標準化の未整備度,(3)複雑な既存の商習慣における制約,が今後も改善されないのでは,との懸念が多いことが明らかになった。

(森側 真一=日経オープンシステム)