オープン・ソース・ソフトウエアのRDBMSであるPostgreSQLの新バージョン7.2が,2002年2月5日,正式にリリースされた。最大の強化ポイントは,長期間連続した際の運用性の向上である。データベース・ファイルのメンテナンス処理であるvacuum実行中にテーブルを参照,更新出来るようになった。また,旧バージョンの7.1では,オプティマイザが使用する統計情報を更新するためにはvacuumを実行する必要があったが,7.2ではvacuumを実行しなくとも統計情報の更新が可能になった。

 PostgreSQLは追記型と呼ぶアーキテクチャを採用しており,データ更新の際は既存のデータを上書きするのではなく,新規にデータを追加し,古いデータを無効にする。そのため,更新が大量に行われるとデータベース・ファイルに古いデータが増え,ファイルの使用効率が低下する。場合によっては性能が劣化することもある。不要になったデータを再利用可能にするための処理がvacuumである。旧バージョンでは,vacuumの実行中,対象のテーブルはロックされてしまい,更新,参照ができなくなっていた。7.2では,テーブルをロックしなくともvacuumが実行できるようになり,vacuum中でも対象テーブルの参照,更新が可能となった。また,analyzeというコマンドにより,vacuumをかけなくとも,オプティマイザが使用する統計情報を更新できるようになった。これらの機能強化により,24時間365日止められないシステムでも採用しやすくなる。

 そのほか,オプティマイザやマルチ・プロセッサ対応の改良により,大規模システムでのパフォーマンス強化を図ったという。セキュリティの向上のためパスワードをMD5で暗号化して格納する機能も追加されている。

 PostgreSQLは,PostgreSQL Global Development Groupが開発,無償配布しているオープン・ソースのRDBMSである。国内では日本PostgreSQLユーザー会が中心となって普及活動を行っている。

(高橋 信頼=日経オープンシステム)