ノベルは2002年1月15日,サーバーOSの新版「NetWare 6」を発表した。独自プロトコルを使わない戦略に変更し,専用ソフト「NetWare Client」無しでもファイル/プリンタ共有が可能,インターネット経由でファイル共有を実現する機能を追加---など,もともと同製品が得意としていたファイル/プリンタ・サーバー“専用”OSとしての機能を強化し,生き残りを図る。出荷は2002年2月18日。価格はオープン・プライスだが,米国での標準価格は184ドル/ユーザーである。

 NetWareは,クライアントにWindowsやUNIX,Macintoshなどが混在する環境での,ファイル/プリンタ・サーバーOSとして利用できる。NetWareをファイル・サーバーに利用するには,従来は「NetWare Client」などの専用クライアント・ソフトが必要だった。NetWare 6では,各種クライアントOSが備えるファイル・アクセス・プロトコルをNetWare 6上に実装することで,専用ソフトウエアが無くてもファイル共有できるようにする。NetWare 6が実装するファイル・アクセス・プロトコルは,Windowsの「CIFS(Common Internet File System)」,UNIXやLinuxの「NFS(Network File System)」,Macintoshの「AFP(AppleTalk File Protocol)」,NetWare Clientの「NCP(NetWare Core Protocol)」。

 また,NetWare 6で新たに実装した特徴的な新機能には,(1)インターネットを介した環境でファイル共有する「iFolder」,(2)プリンタのドライバ・ソフトウエアを検索してダウンロードする「iPrint」---もある。iFolderは,HTTP(HyperText Transfer Protocol)やHTTPSといったWWWアクセスで利用する標準プロトコルでファイルにアクセスするソフトウエア。ファイアウオール越しに,ファイルの読み込みや書き出し,コピーや移動,削除などが行える。iFolderを使えば,会社のファイル・サーバー上のファイルに外出先からインターネット経由でアクセスできるようになる。NetWare 6上で稼働するサーバー・ソフトと,専用のクライアント・ソフトからなる。クライアント・ソフトはネットワークからダウンロードして利用する。クライアント・ソフトの稼働OSは,Windows95/98/Me/NT/2000。iFolderを利用するには,LDAP(Lightweight Directory Access Protocol) 3対応のディレクトリ・サーバーが必要になる。なお,iFolderは単体としても販売する。対応サーバーOSは,Windows NT 4.0/2000,NetWare 5.1。価格はオープン・プライスで,製品の出荷は2002年1月31日。

 iPrintは,インターネットの標準文書RFC(Request For Comments)で規定されている印刷プロトコル「IPP(Internet Printing Protocol)」を実装したソフトウエア。iPrintを利用すれば,(1)プリンタの所在場所の検出,(2)プリンタ・ドライバのダウンロード,(3)インターネット越しの印刷---などが可能になる。NetWare 6上で稼働するサーバー・ソフトと,WWWブラウザ上で稼働するクライアント・ソフトからなる。iPrintを利用するには,NetWareに同こんしている同社のディレクトリ・サービス製品「eDirectory」を使う必要がある。iFolderのような単品販売は行わない。

松山 貴之=日経オープンシステム)