サン・マイクロシステムズは2001年11月6日,同社製UNIXサーバーのエントリ機「Sun Fire V880」(写真右)を同月下旬より出荷開始すると発表した。エントリ機とはいえ,最大8個のUltraSPARC IIIプロセッサ(動作周波数は750MHz),最大32Gバイトのメモリー,最大873GバイトのHDDを搭載可能で,冗長化電源装置や冗長化冷却ファン・トレイを備える。価格は548万円(2CPU構成)~で,WindowsベースのPCサーバーに対抗できる製品とした。発表に際し,来日中の米Sun Microsystems Director Volume Server Products Internet Desktop & Server GroupのJohn F. Davis氏(写真左)に製品戦略を聞いた。(聞き手は,相馬 隆宏=日経オープンシステム)

Sun Fire V880

---PCサーバーに対抗できる値付けをしたということだが,製品出荷の背景は

 PCサーバーに我々の市場が脅かされているわけではない。PCサーバーへの対抗としては4年前にSun Enterprise 450を出荷している。それまで注力していなかったエントリ機の領域に参入し,PCサーバーにはなかった信頼性を付加してぶつけた製品だ。以来,同市場における売り上げは伸びている。Sun Fire V880はその流れをくみ,Sun Enterprise 450の後継となる製品。機能を強化し,性能を上げてきたWindowsやIntel陣営に真っ向から挑む。価格性能比はSun Enterprise 450に比べて50%向上している。

John F. Davis氏

---Sunのサーバー製品におけるSun Fire Vシリーズの位置付けは

 Sun Fireシリーズとしては,メインフレームの置き換えを狙った「Sun Fire 15K」,データ・センターなどでの用途を想定した「Sun Fire 3800/4800/4810/6800」を出荷済みだ。「Sun Fire V880」はその下の領域をカバーする。Vシリーズの投入によって,最新OSのSolaris 8用に開発したアプリケーションをユーザーは要件に合わせて106プロセッサまで自由に拡張し,適当な環境で動作させることができる。同じエントリ機に属する製品としてNetraシリーズがあるが,Netraシリーズは,特別な要件を持っている電気通信事業者や軍隊向け。Vシリーズはそのほかの民生,商業向けとして製品強化を図る。

---PCサーバーも64ビット機など性能向上を図ってきたが

 我々は以前から64ビット・アーキテクチャを採用し,64~106個といった大規模なマルチプロセッサでの動作も既に実証している。WindowsやIntelはそもそもPCの環境に最適化してきたもの。エンタープライズ向けに拡張するには限界がある。Windows 2000 Datacenter ServerやItaniumも出てきて間もない。その信頼性や可用性を確保できるかどうかは,これから見てのお楽しみだ。当面,Sun Fire V880の競合となるのは,Pentium III XeonやWindows 2000 Server搭載の32ビット機だろう。
 また,PCサーバーでは,1台で複数のアプリケーションを動かすのに向いていない。初期導入のコストは安いが,結局サーバーを何台も導入して運用管理コストが増えることになる。実際,その課題を抱えていたユーザーが我々に解決策を求めてきた。Sun Fire V880ならば1台で複数のアプリケーションを問題なく動作させることができるため,管理にかかるコストを削減可能だ。