日本IBMは2001年8月29日,J2EE(Java 2 Platform,Enterprise Edition)に準拠したWebアプリケーション・サーバー(APサーバー)の新版「WebSphere Application Server Version 4.0」を9月7日に出荷すると発表した。価格はスタンドアローンでの利用に限定したアドバンスド・シングル・サーバー版が112万9500円,マルチサーバーでの利用を想定したアドバンスド版が141万2700円である。対応OSはWindows NT/2000,Solaris,AIX,hp-ux,Linux,OS/390,OS/400など。なお,アドバンスド版にTXSeriesやCORBA,ActiveX to EJBブリッジ,Message Beans,JMS Listener,JCA(J2EE Connector Architecture) 1.0などの拡張機能を加えたエンタープライズ版は2001年10月に出荷する予定である。開発者向けには,デベロッパー版を無償で提供する。開発やテストの目的であれば無償で,9月末から同社のWebサイトからダウンロードできるようにする。

 新版の主な機能強化ポイントとしては,(1)Webサービス対応,(2)DynaCacheと呼ぶコンテンツのキャッシュ機能の搭載,(3)WWWサーバーとAPサーバーを分けた際のWWWサーバーとAPサーバー間の通信方式の変更---などが挙げられる。(1)はApache-SOAP(SOAP4J)やUDDI for Java(UDDI4J)などのツールを搭載することで,SOAP(Simple Object Access Protocol)やWSDL(Web Services Description Language),UDDI(Universal Description,Discovery and Integration)といった仕様に対応した。(2)はJavaサーブレットやJSPの出力結果をキャッシュする機能で,「従来よりも数十倍高速になる場合がある」(ソフトウェア事業部 e-ビジネス ソフトウェア事業推進 部長の大古俊輔氏)としている。(3)は,Version 3.5まではOSE Remoteと呼ぶ独自プロトコルを利用していたが,HTTPトランスポートと呼ぶ仕組みを採り入れた。Version 3.5に比較して約42%性能が向上したほか,HTTPを利用することでWWWサーバーとAPサーバー間でSSLも利用できるようになったという。なお,対応するJ2EEの各種APIのバージョンは,Servlet 2.2,JSP 1.1,EJB 1.1,JDBC 2.0,JNDI 1.2,JTA 1.0.1,JTS 1.0,RMI/IIOP 1.3,JavaMail 1.1.3,JAF 1.0.1,JMS 1.0.2など。現在提供されている最新バージョンより古いが,「安定性を重視した結果」(ソフトウェア事業部 e-ビジネス ソフトウェア営業推進 WebSphereマーケティング 主任 ITスペシャリストの長谷部秀昭氏)としている。

 また,同社が提供するWebアプリケーション向けの統合開発環境の新版「WebSphere Studio Version 4.0」も9月4日に出荷する。開発したアプリケーションからWSDLとDD(Deployment Descriptor)を生成してWebサービスとして公開するための機能,取り込んだWSDLからスタブと表示用のJSPファイルを生成して公開されているWebサービスを利用するための機能,などを搭載する。価格は小中規模向けのプロフェッショナル版が8万1400円,チーム開発や分散デバッグ機能などを備えた大規模向けのアドバンスド版が27万9300円で,対応OSはWindows98/Me/NT/2000である。

榊原 康=日経オープンシステム)