ベリタスソフトウェアは2001年3月22日,WAN経由で更新データを複製し,障害時に別サイトでアプリケーションの実行を引き継ぐためのツール群「Wide Area Clustering Solution」の出荷を開始した。ディスク上のデータ更新を別のサーバーに複製する「VERITAS Volume Replicator」,ディスクを管理する「VERITAS Volume Manager」,クラスタリング・ソフトの「VERITAS Cluster Server」,これらを管理する「Global Cluster Manager」を組み合わせたものがWide Area Clustering Solutionである。このうちVolume ReplicatorおよびGlobal Cluster Managerは今回日本で初めて出荷された製品で,米Sun MicrosystemsのSolaris上で動作する。

別サイトでアプリケーションを続行することで,一つのコンピュータ・センターがまるごとダウンしても,ほかのコンピュータ・センターで処理を再開できる。すでに出荷されている米国では「ユーザーは会計システムなど業務システムの耐障害性向上のために使用している」(米VERITAS Software Director of Business Development High Availability & Replication Chander Kant氏)。インターネットのシステムにも適用可能だが,ほとんどのユーザーはOracleと組み合わせ,イントラネット上で使用しているという。

Volume Replicatorは,ディスクに書き込まれた更新データを,LANまたはWAN経由で別のサーバーに送信し反映する。バイト単位で変更部分のみを送り,かつデータを圧縮することで,更新データのトラフィックを削減する。Global Cluster Managerで,サーバーの状態を監視し,障害時には管理者がバックアップ・サーバーへの切り替えを指示する。切り替えを完全に自動化しないのは,高負荷状態などをダウンと誤認するような事態を防ぐためである。Cluster Serverは,Global Cluster Managerの指示を受け,設定された手順に従いアプリケーションを自動的に起動する。サーバーが切り替わった際に,クライアントのアクセス先サーバーを切り替える方法は複数ある。1つは,メイン・サーバーのIPアドレスを,バックアップ・サーバーが引き継ぐ方法。ただし,バックアップ・サーバーが別のサブネット上にある場合,同じIPアドレスは使えないため,DNSを使い,バックアップ・サーバーをセカンダリ・サーバーとして指定するなどの方法を使う。バックアップ・サーバーに引き継ぐアプリケーションとしては「VERITAS Cluster Severが対応しているアプリケーションであればいずれもWide Area Clustering Solutionで使用できる」(Kant氏)という。

高橋 信頼=日経オープンシステム)