インターネット技術を使った企業間の電子商取引“BtoB”システムを構築するためのソフトを開発する米webMethodsは,同社のBtoBサーバー「webMethods for RosettaNet」関連の機能を強化する。webMethods for RosettaNetが米国で発売されてから約1年が経過し,BtoBサーバーの機能が今後どのよう進んでいくのかも見え始めた。米webMethodsのBtoBサーバー製品のマネージャGraham Gillen氏(写真)に,米国でのBtoBの状況と新バージョンの機能強化ポイントを聞いた

(聞き手は森側真一=日経オープンシステム)

Graham Gillen氏
---米国でのBtoBシステムの現状は

BtoBシステムを構築しているのはほとんどがハイテク産業だ。システムを運用していけるスキルがある企業から入っている。それから,化学,自動車,金融にも広がってきている。これらが既存のVAN(Value Added Network)を使ったEDI(ANSI X.12などのデータ・フォーマットを使ったファイル転送)から,XML(Extensible Markup Language)を使ったインターネットによるBtoBに移ってきているのは,コスト面と技術面の理由がある。コスト面ではインターネットの方が通信コストの負担がVANよりも低いこと,技術面では既存の固定フォーマットよりもXMLを使った方がシステム間の連携を作り込みやすいことだ。

---BtoBシステムの標準化は進展しているのか

ハイテク産業の“ビッグネーム”がRosettaNet(パソコン業界から始まったBtoBの標準規約を作成する団体)の規約を採用してきた。RosettaNet対応のBtoBサーバーwebMethods for RosettaNetを購入したユーザーは約40社ある。そのうちの1/3が実運用を始めている。残りの1/3が実験段階で,1/3が購入したばかりのところだ。RosettaNetを採用した企業の約6割がwebMethodsを使っている。

こうした動きとこれまでBtoBサーバーを販売してきた経験から,RosettaNetや既存EDI,e-マーケットプレイスとの接続システムなどを統合して運用できるシステムが求められていると考えている。実際,米Dell ComputerはRosettaNetの標準規約をサポートする計画があり,既存EDI,米AribaのネットワークACSN(データ・フォーマットはcXML)や米Commerce Oneの製品を利用したeマーケット・プレイス(データ・フォーマットはxCBL)なども含めて,webMethodsで統合して運用する予定になっている。

---新バージョンの機能強化点は何か

様々なBtoBを統合して運用するために,まず管理面での強化を図っている。BtoBシステムの管理,分析用ソフトwebMethods Trading Networks 4.0(現行バージョンは1.0.2)で,RosettaNetや既存EDIで送受信される,ドキュメントの内容やトランザクションの状況などを統合管理できるようにする。PCの画面上に接続先の企業とのネットワークを視覚的に表示して,設定情報などを管理する機能も用意する。RosettaNetの標準規約で接続した各取引先との設定をカスタマイズすることもできる。例えば,購買オーダーの管理におけるRosettaNetの標準規約PIP3A4を取引先との接続に利用している場合,規約上は発注を受けてから24時間以内に納期を回答する必要があるが,この時間を48時間とかに設定できる。これは,標準規約には違反していることだが,実際の取引ではそれぞれの取引先企業ごとにカスタマイズして使っている,という状況だ。

このほか,開発環境を強化する。処理の流れを,フロー・ダイヤグラムで定義すれば,プログラムを自動生成するツールを用意する。製品は,米国で4月に特定企業向けリリースを行い,5月半ばには一般向けにリリースする。ほぼ同時期に,ダブル・バイトが通る製品を日本でも販売開始する。日本語表示や日本語マニュアルに対応した製品の投入は,第3四半期を予定している。