パーム コンピューティングは,Palm OS用のソフト/ハードウエア開発者らを対象に技術やソリューションを紹介する「PalmSource Forum Tokyo 2001」(東京都港区,2月14日~15日)を開催した。同イベントでの講演のために来日した米Palm シニア・ディレクター(Sr. Director) Platform Alliances and Partner ServicesのGabriel Acosta-Lopez氏(写真)に,企業向け市場での製品戦略を聞いた。

(聞き手は相馬 隆宏=日経オープンシステム)

Gabriel Acosta-Lopez氏
---PDAの市場シェアを順調に拡大しているようだが,企業向けにはどのように展開するのか

米国では出荷台数のうち約4割が企業向けだ。我々は,米Sun Microsystems,米Sybase,米Oracleといった企業ユーザーを対象としたメジャーなベンダーらと共にソリューションを開発,提供している。こうしたパートナとの協業体制を強化して開発環境を整備していく。

---競合製品との差別化のポイントは何か

パソコン用のOSをベースにしたWindows CEを,携帯端末の小さなサイズに収めようというやり方はうまくない。それに比べて,もともと携帯端末向けとして設計し,発展してきたPalm OSの方が操作性に優れている。Windows CEは,過去何度もバージョン・アップしたり「Pocket PC」と名前を変えたりしているが,中身は変わっていない。販売台数を見れば明らかだ。Windows CEは落ち込んでいるのに対して我々の製品は逆に伸びている。

---日本におけるモバイル端末という市場では,iモードが大きな成功を収めている。近く提供開始するWCA(Web Clipping Application)はiモードのサービスと競合すると思われるが,住み分けはどうするのか

iモードは対抗というより協力関係にあると考えている。両者の良いところを組み合わせることを検討している。しかし,今のところ明確な解答は見つかっていない。コンテンツ・プロバイダらと議論してベストな組み合わせを模索中だ。

---開発者らにとって業務用のモバイル端末を選択する場合にPalmの魅力はどこにあるか

開発者がプラットフォームを一つに絞り込むことはこれまでなかったし,これからも開発者次第であることに変わりはない。ただし,我々は開発者向けに様々なサポート・プログラムを用意するつもりだ。成功事例の紹介や,各種開発ツールの情報を提供する。また,将来はすべての開発者に開発ツールを無償で提供する計画もある。

---将来,次世代携帯電話などが登場し,機能強化されるとPDAとの境目がなくなるようにも思えるが,生き残りのための対策はあるか

これまでPDAのユーザーは,その豊富なアプリケーションと使い勝手に満足してきた。確かにiモードは成功しているが,携帯電話に対するユーザーの不満はまだまだ多い。ユーザーはよりリッチなコンテンツを求めているし,キー入力よりもタップ入力を好んでいる。我々はユーザーの体験を重視し,“シンプル”かつ“パワフル”であり,なお使いやすくあることを追求,実現してきたため成功している。もし仮に携帯電話がPDAの機能を統合したとしても我々は成功する。既に,Kyocera WirelessやSamsung ElectronicsがPalm OSをベースにした携帯電話の開発に着手しているからだ。

---Palm OSは今後どのように発展させていくのか

これまで通り,プラットフォームはオープンにするという姿勢は変えない。できる限り多くのパートナと協力していくことが欠かせない。我々ではなくライセンシの皆が機能を追加,拡張していくという発想だ。カラー表示用のAPIはHandspring,外部拡張記憶操作用のAPIはソニーの開発によって実現した。不特定多数の企業が協力してすべてが勝者になるようにと考えている。

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