マイクロソフトは2001年1月24日,システム連携用サーバー・ソフト「Microsoft BizTalk Server 2000」,WWWサイト構築用ソフト「Microsoft Commerce Server 2000」,セキュリティ用サーバー・ソフト「Microsoft Internet Security and Acceleration Server 2000」,を発表した。BizTalk Serverは新たに登場した製品だが,他の2製品は既存ソフトの後継である。出荷開始は,Internet Security and Acceleration Server 2000が2月16日,Commerce Server 2000が3月9日,BizTalk Server 2000が3月23日,である。

 BizTalk Server 2000は,企業内および企業間のビジネス・プロセスを統合するためのプラットフォームとしての位置付けを狙う製品。企業間(BtoB),e-マーケット・プレイス,インターネットEDI,などで利用する。機能は大きく2つある。1つはビジネス・プロセスの設計および実行環境である「BizTalk オーケストレーションサービス」。同社の作図ソフト「Microsoft Visio」を利用してビジネス・プロセスやデータの遷移をグラフィカルに作成し,実行できる。トランザクションの実行やシステム間のデータの待ちなども設定可能。もう1つの機能,「BizTalk メッセージングサービス」は,データの交換やデータ・マッピング,データのスキーマを定義する。BizTalk Serverのデータ交換機能は,XMLを基にしたドキュメント交換で実施する。利用できるプロトコルはHTTP,SMTP,DCOM,MSMQなど。PKIなどを利用した暗号化通信も可能。XMLのスキーマ定義機能も備えCSVやフラット・ファイル,EDIFACTなどのデータをマッピングできる。

 製品には,大企業向けの「Enterprise Edition」,中小規模企業向けの「Standard Edition」,開発者向けの「Developer Edition」,の3種類がある。Enterprise EditionとStandard Editionの違いは,主にスケーラビリティ。Standard Editionではクラスタリング機能は利用できず,かつ2CPU以上はサポートされない。また,連携できる企業やアプリケーションの数に制限がある。稼働OSははWindows 2000のみ。Windows NT 4.0はサポートしない。また,稼働にあたってActive Directoryは必要ない。RDBMSはSQL Server 7.0/2000。価格はEnterprise Editionが459万5000円(1CPU)である。

 Commerce Server 2000は同社のWWWサイト構築用サーバー・ソフト「Site Server 3.0, Commerce Edition」の後継製品。顧客情報管理機能や商品の推薦などOne to Oneマーケティング向けの機能,商品のカタログ機能,ユーザーの動向を分析する機能,などを追加した。製品の実体は,同社のWWWサーバー・ソフト「Internet Information Service」に,各用途に合わせたHTMLファイル,Active Server Pages(ASP)ファイル,COMコンポーネントなどをパッケージ化したもの。サイト構築のひな型なども用意し,短期開発を実現しやすくしたという。稼働環境は,OSがWindows 2000,RDBMSがSQL Server 7.0 SP2/2000。Windows NT 4.0はサポートしない。価格はすべての機能とSQL Server 2000 Standard Edtionを含む通常パッケージで238万9000円である。

 マイクロソフト史上最も長い名前を持つInternet Security and Acceleration Server 2000は,「Proxy Server 2.0」の後継製品。備える機能はファイアウオール,プロキシ・サーバー,キャッシュ・サーバー,の3つ。大規模ECサイトなどで顧客からのアクセスを高速化するリバース・プロキシ・サーバーとしての利用も想定している。複数のサーバーを並列で動作させる機能も新たに備えた。また,サード・パーティが提供するアドオン・ソフトにより,アンチウイルス,コンテンツ・フィルタリングなどの機能を付加することも可能。PCサーバー・ベンダーと協力して,アプライアンス・サーバーとしての販売も狙う。稼働OSはWindows 2000 SP1以上。価格は複数のサーバー並列動作機能を備えるEnterprise Editionが110万3000円など。

(矢崎 茂明=日経オープンシステム)

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