セブン-イレブン・ジャパンセブンドリーム・ドットコムは2000年11月27日,セブン-イレブン店舗へマルチメディア端末「セブンナビ」の導入を開始した。2001年1月末までに都内約1200店に導入し,その後順次,全国8400店以上の店舗へ展開する。セブンナビではまず,(1)おもちゃやホビー用品,時計,話題の商品などを購入できる「ショッピング」,(2)デジタル・カメラで撮影した写真や銀塩写真を取り込んでシールやカレンダへの加工などが可能なプリント・サービス「フォトプリント」,(3)海外・国内旅行やホテル・旅館宿泊などの予約や購入,関連情報を提供する「旅行&レジャー」,(4)音楽CDやDVDの予約・販売サービス「CD&DVD」,(5)好みの楽曲をミニ・ディスク(MD)にダウンロードする「ミュージックダウンロード」の5つのコンテンツを提供する。

 セブンナビの端末は,OSに「Microsoft Windows 2000」,データベース管理システムに「同SQL Server 2000」を採用し,NECと共同で開発した。15インチのタッチ画面高輝度液晶ディスプレイを採用したほか,MDドライブ,コンパクト・フラッシュとスマート・メディアに対応したメモリー・カード・ドライブ,CCDカメラ,スキャナ,携帯電話接続コネクタなどを搭載する。CCDカメラは本人認証を必要とするサービスに使う。「国内で最高レベルの最新技術を投入した」(セブン-イレブン・ジャパン 常務取締役 情報システム本部長 碓井誠氏)だけでなく拡張性を確保している。メモリー・カード・ドライブは3つの拡張用ベイを備えており,今後はメモリー・スティックやSDカード,またクレジット・カードのICカード化に備えてICカードのリーダー/ライターなどへの対応を予定している。また24時間対応のサービス・センターとつながった電話も備えている。

 端末はセブンドリームのデータ・センターと衛星と専用線を使って接続する。衛星通信は端末内に格納するコンテンツ・データの配信用に使い,通信速度は3Mビット/秒。商品情報など,顧客が通常参照するデータは端末内に格納しておく。動画や音声といった大容量のデータを,利用する都度,データ・センターからダウンロードさせることはない。一方,専用線は,商品の注文など端末から顧客が入力したデータを送信するために使う。専用線サービスには,NTTコミュニケーションズの「デジタルアクセス」と「デジタルリーチ」を使い,通信速度は64Kビット/秒である。セブンドリームは既にパソコンやゲーム機向けの「7dream.com」,携帯電話向けの「ぷちdream.com」といったWWWサイトを立ち上げてコンテンツを提供しているほか,電話による商品の注文を受け付けている。セブンナビはこうしたチャネル展開の一環となる。今後はCSデジタル放送との連携も視野に入っている。セブンナビで会員登録をすることが可能で,IDやパスワードはWWWサイトと共通に利用できる。店舗にセブンナビを導入したことで「店舗とネットを融合した“日本型EC”の本格的なスタートになる」(碓井氏)。

 また,セブンナビは店舗内のLANでPOSレジやマルチメディア・コピー機と連携する。セブンナビとシャープの携帯情報端末(PDA)の「ザウルス」との連携も予定している。ザウルスを接続してデータをダウンロード/アップロードすることが可能になる。こうしたPDAのデータをマルチメディア・コピー機を使ってプリント・アウトしたりFAXを送信したりするサービスも2001年中旬に提供する予定だ。ショッピングや音楽のダウンロードなどコンシューマ向けサービスだけでなくビジネス市場への展開も狙う。「ビジネス・ユースにも対応した“ミニ・キンコーズ”としてあるいはそれを超えるサービスを提供する」(碓井氏)。

 セブンナビの導入に伴う投資額は約400億円。2,3年で回収できると見込んでいる。既存のWWWサイトとの住み分けやパソコン・ユーザーらを上手く取り込めるかがサービス成功のカギを握りそうだ。

(相馬 隆宏=日経オープンシステム)

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