ヤマハは2004年12月1日,企業向けVPNルーターの新機種「RTX1100」を2005年2月上旬から発売すると発表した。IPsecを使ったVPN通信を最大100Mビット/秒のスループットで転送する能力を持つほか,パケットの種類別に通信の品質を管理するQoS機能を強化した。「Dynamic Traffic Control」と呼ぶ独自の制御手法を備えている。

 RTX1100の前モデルであるRTX1000は,「2002年10月の発売以来,累計で10万台出荷」(ヤマハAV・IT事業本部の白鳥進ルーターグループマネージャー)したヒット作。このため,RTX1100の開発はRTX1000との互換性を重視する方針で進められた。ISDN回線を使ったバックアップ回線への自動切り替えといった定評のある機能は残したままで,搭載するCPUの性能やメモリー量,暗号処理回路の追加といったハードウエア面の改良を施して性能を大幅に引き上げた。

 さらに,ルーター・プログラムを一部改良して,いくつかの新機能を追加した。その一つがDynamic Traffic Controlと呼ぶ独自のQoS制御アルゴリズムである。優先パケットに割り当てた帯域の未使用分を,他のパケットへ動的に割り当てることで,回線の帯域を使い切ろうというもの。10月上旬に出荷を始めた上位機種RTX1500から搭載を始めた機能だ。

 RTX1100の価格はRTX1000と同じ税込み12万3900円。なお,RTX1100出荷後もしばらくはRTX1000が併売される。

(山田 剛良=日経NETWORK)