複数のパソコンでプリンタやスキャナなどのUSB機器を使いたい。そう思っても,使うパソコンを替えるたびに接続し直すのは面倒だ——。

 サイレックス・テクノロジーが9月7日に発売する「SX-2000WG」ならばこの面倒は解消できる。SX-2000WGは,パソコンからネットワーク経由でUSB機器を使えるようにする「USBサーバー」と呼ばれる装置。ネットワーク部分はIEEE802.11b/gの無線LANなので,伝送速度は最大で54Mビット/秒になる。USB2.0の480Mビット/秒に比べると遅いが,USB機器を共有できるのは便利だ。

 SX-2000WGにUSB機器を接続し,無線LANでパソコンとつなぐと,あたかもパソコンに直結しているように各USB機器を使える。USBハブを使えば15台までUSB機器をつなげられる。

 SX-2000WGを使うにはまず,パソコンに専用ソフト「SX Virtual Link」をインストールする。同時に仮想USBデバイス・ドライバがパソコンに組み込まれ,USBポートが一つ増えたように見える。

 SX Virtual Linkを立ち上げると,SX-2000WGとその配下につながるUSB機器が一覧表示される。このときOSはまだ表示されたUSB機器を認識していない。一覧からUSB機器を選び,「接続」をクリックして初めてOSがUSB機器を認識する。パソコンのUSBポートにUSB機器を差し込んだのと同じ状態だ。これで,パソコンからUSB機器が使えるようになる。

 パソコンとSX-2000WGは,無線LAN上でTCP/IPで通信する。「接続」をクリックすると,仮想USBドライバとSX-2000WGの間にTCPコネクションが張られ,その中をUSBデータが流れる。SX-2000WGは,無線LAN側から受信したIPパケット/TCPセグメントからUSBデータを取り出してUSB機器に中継する。逆に,USB機器からのデータはIPでパケット化して無線LANでパソコンに送る。

 ただ,USB機器は製品によってデバイス・ドライバの作りが異なるため,これだけでは動かない。そこで,SX-2000WGの仮想デバイス・ドライバは主要な機器に合うように作り込まれている。対応機種は発売に合わせて同社のWebサイトに掲載される予定なので,購入前に確認したい。

平野 亜矢