世界中の人と無料で通話できるインターネット電話ソフトのSkype。チャットやファイル転送など,便利な機能を兼ね備えている。でも,ビデオ・チャット機能はまだ搭載していない。ビデオ・チャットができたらもっと便利なのに――。

 そんなニーズの高まりを見越してか,ビデオ・チャット機能をSkypeに追加するプラグイン・ソフトがいくつか登場し始めた。米サンタ・クルーズ・ネットワークスが2005年6月半ばに無料配布を始めたvSkypeというソフトもその一つだ。

 vSkypeをインストールすると,Skypeのソフトにビデオ・チャット用のボタンとメニューが加わる。このボタンをクリックすると専用のウインドウが開き,Skypeのコンタクト・リストに登録しているユーザー(Skype名)が一覧表示される。

 ユーザーが,一覧からビデオ・チャットで話したい相手を選んで「Start」ボタンをクリックすると,Skypeのチャット機能経由で相手に招待メッセージが送られる。招待メッセージには,セッションIDを含む形式のURLが書かれており,相手がこのURLをクリックするとWebブラウザが起動して接続用のWebページが開く。このWebページ上に表示されている「Join the call」ボタンをクリックするとvSkypeのウインドウが開いてビデオ・チャットがスタートする。

 一連の機能は,vSkypeのプログラムがSkypeの公開API(application programming interface)を使ってSkypeを操作することで実現している。具体的には,Skypeクライアントからユーザー一覧を取り込んだり,Skypeのチャット機能を使って相手に招待メッセージを送るといった処理にSkypeの機能を利用している。

 ただし,Skypeの機能を使うのは相手に招待メッセージを送るまで。招待メッセージに含まれるURLをクリックしてビデオ・チャットが始まると,Skypeとは関係なくvSkypeクライアントが専用サーバー経由で動画や音声データをやりとりする。このように,vSkypeはSkypeのプラグイン・ソフトという体裁をとっているものの,その実体はSkypeのユーザー管理機能とチャット機能を借りているだけなのである。

 とはいえ,あたかもSkypeの新機能のごとくビデオ・チャットを実現する手法はアイデア賞もの。画質もそこそこ。興味を持った人は一度試してみることをお勧めしたい。

斉藤 栄太郎