無料インターネット電話ソフトの「Skype」を会社の内線電話用に導入したいが,セキュリティが不安でちょっと踏み切れない――。こんな悩みを抱えているネットワーク・マネージャに朗報だ。企業内でSkypeを安全・快適に使えるようにする管理ツールが登場したからだ。ゼッタテクノロジーが開発した「PCSK2 for livedoor スカイプ」(以下,PCSK2)というネットワーク管理ソフトがそれである。

 Skypeは,音声通話のほかにファイル転送やチャットの機能を備える。加えて,NATやファイアウォールがある環境でも問題なく使えてしまう。通信を止めにくいのだ。そのため,ネットワーク・マネージャにしてみると,Skypeはセキュリティに不安をもたらすソフトといえる。

 それが,SkypeにPCSK2を組み合わせて使うと,「音声通話だけを許可し,それ以外の機能は一切使わせない」というように,Skypeの機能を制限できるようになる。

 そのしくみは驚くほど単純だ。Skypeでは,ユーザーがチャットやファイル転送などの機能を使うときに新しいウインドウが開く。ゼッタテクノロジーはここに着目した。開いたウインドウのタイトル文字列をチェックし,設定で禁止された機能と照らし合わせて,該当する場合はそのウインドウを強制的に閉じるようにしたのである。

 実際の利用イメージは次のようになる。まず管理者は,PCSK2の管理コンソール上で社員にSkypeのどんな機能を使わせないようにしたいかという「ポリシー」を設定する。設定できる項目は,ファイル送信の禁止やチャットの禁止,コンタクト・リストへの新規追加禁止など。Skypeの基本機能はほとんどカバーしている。管理者は,これらの項目の中から禁止したい機能や操作を選んでチェックを付けるだけ。ポリシーの設定は,個別のユーザーごとに設定できるほか,グループ単位でも設定できる。

 こうして設定したポリシー情報は,管理コンソールから各ユーザーのパソコンに常駐するエージェントに配信される。ポリシー情報を受け取ったエージェントはユーザーの動作を監視して,禁止にした機能をユーザーが使おうとしたら,ウインドウを閉じたり警告メッセージを表示したりする。機能の利用を禁止せずに,「情報漏えいに気をつけてください」といった注意を喚起する自作のメッセージを表示させることも可能だ。

 ウインドウ・タイトルをチェックして止めるという方法は,タネを明かしてしまえば単純だが確実性は高い。ユーザーがSkypeのプログラムを改造してウインドウ・タイトルを変えたりしない限り,Skypeの動作を確実に制御できる。

 心配なのは,Skypeがバージョンアップしたときにウインドウ・タイトルが変わってしまうケースだが,ゼッタテクノロジーは「チェックする文字列を修正するだけで済むので,すぐに対応できる」(古田恵一・開発グループ マネージャ)という。

 PCSK2の機能は,Skypeに利用制限をかけるだけではない。内線番号表を自動生成したり,その内線番号表を配布する機能など,Skypeを企業ネットワークでより便利に使えるようにするための機能も持っている。

 PCSK2の価格は10ユーザー版で9万6600円から。体験版がゼッタテクノロジーのサイトで公開されているので,気になる人は一度試してみてはいかがだろうか。

斉藤 栄太郎