プロバイダのぷららネットワークスは1月31日,新しい迷惑メール対策の運用を始めた。NTT-MEも同様の対策を実施すると表明しており,ほかのプロバイダも続く可能性がある。そこで対策の内容と実施の背景を探った。

 迷惑メールの配信者は,身元を明かさないようにして大量のメールを配信する。そのために動的IPアドレスを使ったり,プロバイダのメール・サーバーを経由せずにメールを送るという特徴がある。そこでぷららは,こうした条件に当てはまるメールをブロックして,インターネットに流さないようにした。

 具体的には,まず自社の運用するメール・サーバーに,迷惑メールをチェックして配信を止める機能を持たせた。メールの量やヘッダーのパターンなどを調べて迷惑メールと判断したメールを転送しない。

 さらに,同社のメール・サーバーを経由せずに直接インターネットに出ていくメールを遮断する。ユーザーが独自に立てたメール・サーバーから特定の事業者のメール・サーバーに直接送られるメールを止めるのである。今回同社は,動的IPアドレスを使うユーザーからKDDIやボーダフォンなどの携帯電話ユーザーあてのメールに適用した。こうすることで,ぷららのネットから出る携帯電話あての迷惑メールを半減できると見ている。

 この対策により,メール・サーバーを独自に運用しているぷららのユーザーにも影響が出る。ただ,転送先をぷららのメール・サーバーに設定し直したり,固定IPアドレスを使うようにすれば,これまでと同じように使える。

 今回,同社がこうした対策に踏み切った背景には,迷惑メールの被害に苦しむプロバイダの事情がある。

 携帯電話事業者は,迷惑メールを大量に受信すると,迷惑メールの発信元となっているプロバイダから届くすべてのメールの受信を一時的に拒否することがある。自社の設備を守るためだ。

 すると,受信拒否の対象となったプロバイダのユーザーは,その事業者の携帯電話あてに一切メールを送れなくなる。こうなると,プロバイダにはユーザーからのクレームが殺到する。

 つまりこの対策は,携帯電話事業者にメールの受信を拒否されないようにする目的があるわけだ。と同時に,メールが滞りなく送れるサービスを提供していることをユーザーにアピールする狙いもある。

半沢 智