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“自営広域イーサ”を実現する装置が続々

2004/10/25

 離れた拠点間をイーサネットで結ぶ広域イーサネット・サービス――。今多くの企業が使っている人気のサービスだ。拠点から拠点にイーサネットのMACフレームがそのまま届くので,サービスに加入したすべての拠点のLANを一つのLANとして使える。AppleTalkやIPXといったIP以外のプロトコルも利用できる。

 そんな広域イーサネットを自前で構築できる製品が続々と登場している。「イーサネットVPN装置」と呼ばれる製品である。そこで今回は,市場に出てきたイーサネットVPN装置のしくみを探った。

 登場したイーサネットVPN装置は3製品。マイクロ総合研究所の「UnifiedGate101」,センチュリー・システムズの「FutureNet XR-410/TX2-L2」,フジクラの「Flebo」だ。大きさはいずれも手のひら大。価格は8万〜9万5000円程度である。

 イーサネットVPN装置は,ブロードバンド・ルーターに広域イーサネットの構築に必要な機能を追加したものである。拠点のLANとブロードバンド回線の間に設置して拠点をインターネットにつなぐ従来のルーター機能に加え,拠点のコンピュータが送り出したMACフレームをIPパケットにカプセル化してほかの拠点に送信する機能を持つ。

 通常ブロードバンド・ルーターは,自分のMACアドレスあてに来たMACフレームに対してルーティング処理を実行し,それ以外のMACフレームは無視する。ところがイーサネットVPN装置は,自分あて以外のMACフレームが来ても無視せずに,そのフレームをIPパケットに入れて目的の拠点まで転送する。

 受け取ったMACフレームをどのIPアドレスに転送するかは,LANスイッチと同じく自動的に学習する。イーサネットVPN装置にはあらかじめ,ほかの拠点にあるイーサネットVPN装置のWAN側に割り当てられたIPアドレスを登録しておく。するとイーサネットVPN装置は,やりとりしたIPパケットとMACフレーム内のアドレス情報を参照し,拠点(IPアドレス)ごとのMACアドレス・テーブルを作成する。こうして,どの拠点にどんなMACアドレスの端末があるのかを学習する。

 イーサネットVPN装置は,自分あてでないMACフレームを受け取ったら,そのMACフレームのあて先MACアドレスをアドレス・テーブルから探し出し,対応するIPアドレスあてにカプセル化して転送する。受け取ったMACフレームのあて先がMACアドレス・テーブルになかったら,登録してあるすべてのイーサネットVPN装置にカプセル化したフレームを転送する。この動作もLANスイッチと同じだ。

 こうした処理により,各拠点に置かれた複数のイーサネットVPN装置全体が一つのLANスイッチとして動作しているように見えるのである。

 ここまで見てきた基本的な動作は,今回登場したメーカー3社の製品に共通するものである。製品間の違いは,MACフレームをIPパケットでカプセル化する方式にある。マイクロ総合研究所のUnifiedGateは,カプセル化の方式に「EtherIP」と呼ばれる標準技術を採用している。センチュリー・システムズのFutureNetは,現在標準化作業中の「L2TPv3」(layer 2 tunneling protocol version 3)を採用した。フジクラのFleboは,カプセル化に独自方式を採用している。

 こうした違いがあるため,それぞれの装置に互換性はない。また,搭載する機能にも特徴がある。実際に導入を検討する場合は注意が必要になるだろう。

半沢 智

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