放送事業者各社が計画通り2011年7月に地上アナログ放送を終えれば,放送関係者にとって地上波放送のデジタル化は無事完了する。それまでに地上デジタル放送の提供エリアを広げるなどして,事業基盤を整えておけばよい。しかし,家電メーカーにとっての2011年7月は,全く異なる意味を持つ。
「特需の反動で市場が冷え込む」――。大手家電メーカーのある幹部はこう覚悟する。デジタルテレビ受像機市場には2011年7月までに,4回の特需があるといわれる。そのトリガーは2006年に開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会,2008年の北京五輪,2010年のW杯・南アフリカ大会,そして20011年7月の地上アナログ放送の終了である。それぞれのイベントをきっかけに,デジタルテレビの需要が増進と減退を繰り返すことになる。家電メーカーが恐れ始めているのが,最大にして最後の特需となる「地上アナログ放送の終了」の後の揺り戻しだ(詳細は日経ニューメディア2005年7月4日号に掲載)。