関東広域圏における地上デジタル放送の提供エリアが,2004年9月22日から大幅に広がった。視聴可能世帯数でみた提供エリアは,例えばNHKの教育テレビと民放キー局各社の場合で,それまでの都心部の12万世帯から,東京都・千葉県・埼玉県・茨城県・神奈川県にわたる640万世帯に拡大した。これに伴い地上波放送事業者は,地上デジタル放送の普及キャンペーンを展開するなど,視聴者に対するアピールを強化し始めた。

 一方,地上デジタル放送に関しては総務省などが,現行のアナログ放送と比べて「都市型難視聴エリア」の世帯数が約10分の1に減るという調査結果をまとめていた(本誌2004年6月28日号p.4参照)。地上デジタル放送で難視聴エリアが減少するのは,変調方式に「OFDM」(直交周波数分割多重)を採用したことで建物の反射波によって生じる「ゴースト障害」などを回避できるためだ。これによって将来的に,難視聴対策業務を請け負ってきた都市部のCATV(ケーブルテレビ)事業者の経営に大きな影響を与えると予想されている(詳細は日経ニューメディア2004年10月4日号に掲載)。