ケーブルテレビ(CATV)業界で,IP電話サービスの相互接続の動きが急進展し始めた。アイテック阪神とイッツ・コミュニケーションズ,KMN,シーテック,ジャパンケーブルネット(JCN)の5社は2004年8月から順次,それぞれが運用するIP電話用スイッチ(クラス5スイッチ)を相互接続してIP電話加入者間の無料通話サービスを開始した(基本料などは別に必要)。5社はほかのCATV事業者と提携するなどして,CATV網経由で「050」ではじまる専用番号を使うIP電話サービスを提供している。例えばアイテック阪神の場合,同社のIP電話スイッチを使って近鉄ケーブルネットワークなどCATV事業者8社(予定を含む)がIP電話サービスを提供している。こうして関東・中京・近畿地区などのCATV事業者56社のIP電話サービスの加入者同士が,無料で通話できる環境が整うことになった。
 
 しかし,今回56社による無料通話にメドが付いたものの,大半の事業者は「IP電話サービスの売り込みはこれから」という状況のようだ。無料通話の対象を広げたメリットを加入者獲得にどれだけ結び付けられるかは,CATV事業者各社の今後の取り組み次第になる(詳細は日経ニューメディア2004年8月23日号に掲載)。