NTT(持ち株会社)のNTTサイバースペース研究所は2004年4月12日,HDTV(ハイビジョン)映像に比べて縦横の画素数がそれぞれ2倍となる「SHR(Super High Resolution)」品質の映像を伝送するための新しいエンコーダー(圧縮符号化装置)を試作したと発表した。同研究所が開発しすでに実用化されている現行のエンコーダーでは,SHR映像を四つのHDTV映像に均等に分割したうえで,四つのHDTVエンコーダーを使って各映像を伝送していた。一つのエンコーダーが一つのHDTV映像を圧縮し,圧縮後に四つのHDTV映像を同期して伝送する仕組みだった。新開発のエンコーダーでも四つのエンコーダーを使うが,各エンコーダーがそれぞれHDTV映像を圧縮する際に連係動作する機能を追加した。具体的には,情報量が多い一つのHDTV映像を圧縮する場合に,複数のエンコーダーを併用して処理するようにした。これにより,4分割したHDTV映像の画質がばらつくという現在のエンコーダーの問題点を解決できたという。

 NTTサイバー研はさらに,エンコード用のLSIとしてMPEG-2方式に対応した「VASA」を新開発し,エンコーダーの大きさを現在の6分の1に,消費電力を4分の1の300Wにした。今回開発したエンコーダーは,2004年4月17日から米国で開催される全米放送事業者連盟(NAB)の年次大会「NAB2004」で展示する。(4月12日発表)