総務省は,電子タグを利用した様々な情報通信システムの実証実験を,2004年度から実施する。実験の対象となる18種類の重要テーマをこのほど選定し,2003年秋に予算要求額などの方針を固める予定である。2005年度には実証実験のテーマをいくつか実用化するなど,電子タグの市場拡大に向けて積極的に取り組む姿勢を打ち出している。

 同様の取り組みは欧米でも行われていたが,2003年7月中旬に米Wal-MartやイタリアBenettonなどが,電子タグを使った物流管理システムの実証実験を突然中止した。現地の消費者団体が,「消費者の購入履歴などの個人情報が,流通業者から第三者に漏れる恐れがある」といったプライバシー問題を理由として,電子タグの導入に抗議していたからだ。今回の欧米の動きは,日本の関係者にも衝撃を与えている。欧米と同じ事態を招かないために総務省は,日本では電子タグに対応した各種のネットワーク対応サービスを充実させることによって,消費者に様々な利便性を訴える考えである(詳細は日経ニューメディア2003年7月28日号に掲載)。