ディジタル地上波ラジオの実用化試験放送の開始が2003年10月に迫っている。推進団体の「デジタルラジオ推進協会」に加盟するエフエム東京やエフエム大阪,NHK,全国朝日放送(テレビ朝日)といったラジオ放送事業者やテレビ放送事業者などが,放送開始に向けた準備を進めている。実用化試験放送は,関東地区と近畿地区で本放送に近い形で提供され,事業者による広告放送などのビジネス展開も可能である。しかし,放送開始からしばらくの間は,肝心の受信機が発売されない状況が続きそうだ。家電メーカー各社が受信機の発売に踏み切れないでいるからである。その理由は主に二つある。メーカー各社が今回の実用化試験放送に大きな需要を見いだせていないというのが,第1の理由である。もう一つの理由は,実用化試験放送で採 ,用する映像符号化方式を将来変更するかもしれないことである(詳細は日経ニューメディア2003年7月21日号に掲載)。