経済産業省は,欧米などで拡大している「通信帯域取引市場」を日本で実現するための実証実験を,日本ネットワーク・エンジニアリング(JNE)などの通信事業者や,東京都や大阪府といった自治体などが参加するコンソーシアムに委託する形で,2003年2月中に開始する。「プーリングポイント」(PP)と呼ぶネットワーク集積拠点を東京都と大阪府に設置して,通信事業者や自治体にバックボーン・ネットワークをそこに接続してもらう。そのうえで,事業者間でネットワーク伝送能力(通信帯域や光波長など)を自由に取引できるようにするほか,ユーザー企業がPPに光ファイバ回線を引き込むことで複数の通信事業者のサービスを選択して利用できるようにする計画である。

 このようにPPを拠点に,通信事業者やユーザー企業が通信帯域などを自由に売買できる新市場が実現すれば,通信事業者にとっては自社のネットワーク容量を他事業者に販売することで,余剰設備の有効活用が可能になる。また,ユーザー企業にとっては,安いサービスを選んで利用できるようになるため,コスト削減効果が見込めると経産省はみている。 しかし,新市場について新電電などの大手通信事業者は,「新市場があっても良いと思うが,興味はない」と静観している(詳細は日経ニューメディア2003年2月17日号に掲載)。

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