2003年12月に予定されているディジタル地上波放送の開始まで1年余りとなり,これまでのディジタル地上波放送を巡る実験や調査などからは,「アナログ放送よりも受信特性が良い」といったディジタル地上波放送の特徴が明らかになってきた。現時点の想定では,送信局(関東広域圏の場合は東京タワーが親局)に近い都心部では,難視聴型ケーブルテレビ(CATV)の導入など受信障害対策が必要なエリアが,現在よりも大幅に減る可能性が高いようだ。

 これは,日本のディジタル地上波放送が変調方式として「OFDM」(直交周波数分割多重)方式を採用することに起因する。「OFDMは欧州方式や米国方式が決まった後,最後に作られた方式だけに性能が良い。このため,アンテナ回路をボディーに埋め込んだテレビ受像機などが発売されれば,都心部の多くの家庭でディジタル地上波放送がアンテナなしで視聴可能になる。これで視聴できなかった場合に限り,屋根にアンテナを設置するという流れが一般的になるはずだ」(ある地上波放送事業者の技術関係者)という(詳細は日経ニューメディア2002年11月18日号に掲載)。