ソフトバンク・グループのクラビットが全額出資する「ブロードメディア・ティービー企画」(本社:東京都渋谷区,社長:橋本太郎氏)は,電気通信役務利用放送法に基づく「有線役務利用放送事業者」として,2002年9月に放送事業に参入する計画だ。ADSL(非対称ディジタル加入者線)とIPマルチキャスト技術を使って,有線テレビ放送事業に参入する。ソフトバンク・グループのADSLインターネット・サービス「Yahoo! BB」の加入者に対して,テレビ受像機と接続して利用する専用セットトップ・ボックス(STB)を貸し出し,ディジタルCS放送「SKY PerfecTV!」などで放送されているチャンネルを視聴できるようにする。これにより,“ADSL放送”という新たな市場が生まれる。

 今回のサービスがこれまでの放送と大きく異なるのは,ユーザーの環境によって実効伝送速度が異なる「ベストエフォート型回線」を放送用の伝送路として使う点だ。現行の放送サービスは,伝送速度(あるいは帯域幅)が一定の伝送路を使っている。一方ADSLを使う場合は,実効伝送速度が遅くなって番組の配信速度を下回れば,画面が乱れるなどの受信障害が起こる(詳細は日経ニューメディア2002年8月5日号に掲載)。