NHKと地上波民放事業者,総務省で組織する「全国地上デジタル放送推進協議会」は2002年7月19日,ディジタル放送を開始するために必要になる「アナログ放送用周波数変更対策費」の見直し結果が約1800億円になったと発表した。全国協議会が2001年11月に変更対策を精査したところ,費用が当初の727億円から2000億円以上に膨れ上がることが判明し,変更対策の見直し作業を進めていた。総務省は,「一部の地域で新たに高性能のアンテナや電波干渉を防ぐ装置の導入することで,対策費を圧縮できた」という。当初はディジタル地上波放送用のセットトップ・ボックス(STB)を一部の世帯に無料配布する手法による費用の抑制を目指していたが,結局,効果が小さいと判断して採用しなかった。総務省は今回の費用の算定結果を受けて,8月下旬に財務省に対して2003年度の予算要求を行う。

 なおアナログ周波数変更対策とは,2003年末から順次始まるディジタル地上波放送の周波数を確保するために,現行のアナログ放送の周波数を変更する作業のことである。中継局を改修したり,各家庭のアンテナの調整などを行う。費用は国が携帯電話事業者や放送事業者から徴収した「電波利用料」で賄う。ただし関東と近畿の広域放送事業者は,対策費用を自己負担することになっている。今回の算定にも,この費用は含まれていない(7月19日発表)。■

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