総務省は2001年5月8日にNTT(持ち株会社)グループに対して,地域通信市場における競争を促進するための自主的な実施計画(自主計画)を速やかに作成して公表することを,行政指導の形で要請した。NTTグループ企業間における競争の実現や,NTT東西地域会社の経営効率化などを含む自主計画の提出は,電気通信事業の競争政策などを検討していた情報通信審議会が2000年12月21日に出した「第1次答申」などでも求めていた。

 情通審の1次答申で自主計画の作成と公表が求められたことを受けてNTTの宮津純一郎社長は,「自主計画はグループの3カ年経営計画に盛り込むことになりそうだ」と2001年2月の会見で発言した。ところが,2001年4月2日にNTTが発表した3カ年経営計画では,「ほかの通信事業者との公正競争に配意する」との表現にとどめ,具体策には踏み込まなかった。こうした経緯から,「NTTに任意で自主計画を提出してもらうことは難しい」と判断した総務省は今回,行政指導という手段でNTTに自主計画の提出を求めることにした。しかし,「できれば行政指導で自主計画の提出を求めることは避けたかった」という。

 それでは,なぜ総務省は行政指導という手段を選んだのか。業界関係者は二つの事情を挙げる。

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