日本テレコム・グループが大きく揺れ動いている。2001年2月末に,英国の大手携帯電話事業者であるVodafoneが日本テレコムの筆頭株主に躍り出た。3月上旬には,三大都市圏で2001年10月に予定していた次世代移動通信サービス「IMT-2000」の開始時期を,2002年6月に延期すると発表した。同グループの関係者は,「Vodafoneとの関係強化は,主に固定通信サービスに関する連携を深めるためのものだ」と説明する。しかし業界では,「Vodafoneの本当の狙いは,日本テレコムの子会社であるJ-フォン・グループが手がける携帯電話事業にある」という見方が根強い。J-フォンがIMT-2000を延期したことについても,その理由が国際標準化にかかわるため,J-フォンの株主の中で特にVodafoneやBritish Telecommunications(BT)など欧州事業者の意向が強く働いたとみられる。

 そのJ-フォンは2000年秋の段階では,「IMT-2000のサービス展開予定を見据えながら,PDC方式を使った現行サービスの強化も並行して進める」という方針だった。J-フォンはPDCサービスに関しては非公式に,「2001年5月にもJavaアプレットの配信サービスを,12月にパケット交換サービスを追加する」という考えを明らかにしている。同社は現時点では,「PDCサービスを強化するスケジュールは,IMT-2000の延期と無関係」とする。とはいえ,IMT-2000の延期によってPDCサービスの設備投資や販売促進に力を注げる状況になったことから,ここ1~2年の主力サービスはPDCと腹を決めたようにもみえる(詳細は日経ニューメディア2001年3月19日号に掲載)。■

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