「携帯電話事業者などから徴収した資金を投入する以上,余った周波数の開放時期を明記する必要があった」(総務省)---。地上波テレビ放送のディジタル化を推進する電波法改正案が,2001年2月9日に今通常国会に提出された。

 改正案の最大のポイントは,現行のアナログ放送を10年後に終了させると明記したことだ。法改正の主な目的は,ディジタル放送用周波数を確保するための「アナログ放送用周波数の変更対策」費用の大半を,携帯電話事業者など無線局の免許人から徴収した電波利用料で賄うことである。総務省はその“交換条件”として,電波料の負担者のメリットを明記すべきと考えた。

 改正案で示された交換条件を具体的にみると,(1)アナログ・テレビ放送は,周波数変更対策の手続き開始後10年で終了させる,(2)周波数変更対策は5年で完了し,ディジタル・テレビ放送を導入できるようにする,(3)ディジタル・テレビ放送への移行終了後に,アナログ用周波数の4分の1以上をほかの無線システムに開放する---という3点である。

 電波法改正案通りに地上波のディジタル化が円滑に進むかは,視聴者にディジタル化の意義を理解してもらえるかにかかっている。「ディジタルでなければテレビが売れない」ような魅力的なサービスを実現するために,行政と放送局,メーカーが一体となった推進策が急務になりそうだ(詳細は日経ニューメディア2001年2月19日号に掲載)。■

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