移動通信事業者が,音楽配信サービス市場の成長に期待を寄せている。すでにDDIポケット電話とNTTドコモが,PHSインフラを使ったサービスを開始した。また携帯電話事業者も次世代移動通信サービス「IMT-2000」では,音楽配信サービスを主要アプリケーションの一つに据えている。

 しかし主な楽曲の提供元となるレコード会社の間では,配信サービスに楽曲をどこまで提供するかで温度差がある。

 例えばビクターエンタテインメントは試聴サービスとして,楽曲を端末に保存できないストリーム情報としての部分的な提供は始めたが,フルコーラスを端末に配信するサービスへの楽曲提供には及び腰である。同社はその理由を,「悪質なユーザーが楽曲をさんざんダウンロードしたあげく,料金を支払わずに端末を捨ててしまう事態が起きるのを恐れているためだ」としている。こうした“聞き逃げ”が発生した場合には,「レコード会社がアーチストなどに支払う楽曲の著作権料を,通信事業者が補償してくれる契約形態が望ましい」という。

 これに対して音楽配信で先行するDDIポケットは,「通信事業者がコンテンツに責任を持つことはあり得ない」と言い切る。とはいえ,通信事業者が何も対策を講じなければ,配信できる楽曲は増えない。そこでDDIポケットなどは,1カ月当たりの楽曲受信料の上限を10万円とすることなどで被害額を少なくしようと考えている(詳細は日経ニューメディア2001年2月19日号に掲載)。■

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