NTT(持ち株会社)と,NECや住友電気工業,富士通など大手電機メーカー7社は,2001年1月上旬に米国で開催されたITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)のDSL(ディジタル加入者線)に関する作業部会に,「VDSL」(超高速ディジタル加入者線)に関する二つの意見書を提出した。

 NTTなど8社が意見書を提出した狙いは,日本の状況に合ったVDSL仕様の作成をITU-Tに促して,日本でのVDSLの普及を図ることである。当初の用途として想定しているのは,構内通信技術としての利用だ。集合住宅などでVDSLを使うことで,より高速で高品質な通信を可能にすることを目指す。

 現在日本では,集合住宅などで高速インターネットの利用を実現する「インターネット・マンション」のサービスが続々と登場している。こうしたインターネット・マンションの構内通信技術としては,電話線を使って家庭内LANを構築する「HomePNA」技術の導入が急速に進んでいる。しかし,今回ITU-Tに意見書を提出したあるメーカーは,「マンションや雑居ビルなどで複数のHomePNA回線が隣接すると, HomePNA回線間やほかのADSL回線に対して信号が漏えいして干渉する場合がある」という。

 これに対して,NTTなど8社が提案したVDSL仕様を使えば,「HomePNAと比べて伝送速度や伝送距離で大幅に勝る上に,VDSL回線間やほかのDSL回線に対する干渉対策も施されている。構内通信技術としては,VDSLを採用することが現実的だ」という(詳細は日経ニューメディア2001年1月29日号に掲載)。■

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