電気通信事業における競争促進政策を巡って,総務省(旧郵政省)と公正取引委員会が異なる手段をとり始めた。総務省が電気通信事業法の改正,公取委が独占禁止法の本格的な適用である。総務省と公取委はいずれも,「競争環境の実現に向けて互いに連携を図っていく方針だが,具体的にどのような調整を行うかは未定だ」としている。最終的に調整を行うにしても,当面は個別に作業を進めることになるようだ。こうした動きについては,「自らの存在をアピールして,その価値を高めたいという役所の縄張り争いのような側面がある」(政府関係者)との指摘がある。

 こうした総務省と公取委の取り組みについてある新電電幹部は,「役所間の競争によって,少しでも良い体制ができるのであれば歓迎だ。支配的事業者に規制をかけるにしても,複数で目を光らせてくれればより効果が上がる」と評価する。一方,支配的事業者の規制を受ける可能性が高いNTTグループからは,「規制当局が二つできて,個別に関与されるようになってはたまらない」という困惑の声が聞こえてくる(詳細は日経ニューメディア2001年1月22日号に掲載)。■

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