NTTドコモと米国の携帯電話事業者であるAT&T Wirelessは2000年11月30日,NTTドコモがAT&T Wirelessに約1兆792億円を出資することで合意し,覚書を交わしたと発表した。NTTドコモは,同社が採用する携帯電話機向けのインターネット接続方式「iモード」と,次世代移動通信システム「IMT-2000」の「DS-CDMA」方式をAT&T Wirelessが採用する約束を取り付けた。AT&T Wirelessは欧州メーカーが開発した「EDGE」方式の導入に積極的であり,同方式の導入実験を実施するところまで話を進めていた。しかしNTTドコモとの提携により,DS-CDMA方式の採用に転換したことになる。

 今回の逆転劇は,資金力とiモードを持つNTTドコモだからできた技ともいえる。AT&T WirelessがDS-CDMA方式を全米で展開するには,新規周波数をオークションで落札するための多額の資金が必要になる。さらに,オークションのコストを早く回収するには,データ通信事業に生かせるiモードのノウハウが大きな武器となるからだ。CDMAの中では競合方式を持つ米QUALCOMMも,「EDGEよりはDS-CDMAが米国で普及する方が大歓迎」としている。欧州ではIMT-2000用の周波数を獲得できなかった事業者がEDGEを採用する見通しだったが,QUALCOMMがcdmaOne拡張方式の売り込みを始めるなど,CDMAによるEDGEの包囲網が広がりそうだ(詳細は日経ニューメディア2000年12月4日号に掲載)。■

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