住友商事の子会社であるアルファブリッジ(東京都千代田区)は11月6日、ブロードバンドユーザー向けのコンテンツ配信サービス「PuCa」(http://www.puca.jp/)を開始した。ユーザーがネットに接続している間に、電子新聞や電子カタログなどの大容量コンテンツをパソコンに送り届ける“プッシュ型”サービスである。

 ユーザーは専用のクライアントソフト「PuCaプレーヤー」を、パソコンにインストールしてサービスを利用する。送ってほしいコンテンツを登録すると、指定した時間帯にユーザーのパソコンに配信され、ハードディスクに蓄積される。ユーザーはデスクトップ上のアイコンをクリックするだけでコンテンツを視聴できる仕掛けだ。PuCaプレーヤーの対応OSは、当初はWindowsXPとWindows2000(SP2以上)のみ。

 コンテンツとしては、まず毎日新聞社が11月14日に「電子新聞」の提供を始める。当初はNTTコミュニケーションズのインターネット接続サービス「OCN」のユーザー3000人を対象に無料で配信し、2003年3月から有償化する計画だ。このほか2003年1月には、小学館と通販最大手の千趣会が、それぞれ教育用コンテンツと無料電子カタログの配信を開始する。

 コンテンツ提供企業の利用料金は、配信するコンテンツ1Mバイトにつき2円。例えば、10Mバイトのコンテンツを月4回、5000世帯に配信した場合は、総配信容量が200Gバイトとなり、料金は40万円になる。一方、ユーザーの利用料金はコンテンツに応じて異なる。アルファブリッジは、2003年中に約50万ユーザーを獲得し、約50種類のコンテンツを配信する計画。売り上げは約6億円を見込む。

 こうしたプッシュ型の情報配信サービスには、かつて米ポイントキャスト社の「PointCast」などがあった。しかし当時の日本では普及せず、ポイントキャストの日本法人は2000年5月にサービスを中止したという経緯がある。これに対してアルファブリッジの武内大専務は、「ポイントキャストの時代とは、ユーザーのインターネット接続環境がまったく異なる。国内の常時接続のブロードバンドユーザーが500万人を超えた今こそ、プッシュ型情報配信サービスを始める絶好のチャンス」と、新サービスに自信を見せる。

(永井 学=日経ネットビジネス)