消費者向けネット通販サイトの企画運営会社であるネットプライス(東京都渋谷区)は、2001年12月に電子モール事業を有線ブロードネットワークスに譲渡し、自社仕入れ・自社販売によるネット通販事業に特化した。経営方針を転換してから、この1年の成果を佐藤輝英社長に聞いた。

――電子モール事業を離れて、約1年がたった。成果はどうか。

 2002年9月期の売り上げは約16億円で、初めて単年度黒字を計上した。単月で見ると、今年8月の月商は2億2000万円で、2月の9700万円に比べて2倍以上に伸びた。特に好調なのが携帯電話を使ったモバイルコマースだ。8月はモバイルだけで1億2000万円と、月商の半分以上を占めた。この調子だと、3年後には累損を解消できそうだ。

――モバイルで商品が売れる理由は何か。

 携帯電話だけでなく、雑誌などのメディアと組み合わせた販売が好調だ。現在、角川書店の「東京ウォーカー」などの情報誌や、「ChouChou」(シュシュ)などの女性誌と提携して、定期的に通販ページを設けている。雑誌を眺めながら、携帯電話で注文できるというもので、号平均で約1000万円以上を売り上げている。角川書店とは、売り上げに応じて利益を分配するレベニューシェア方式を採用しているので、媒体側にとっても広告や販売収入に加え、通販収入という新しい収益を期待できる。

――今後の展開は。

 媒体と協力したメディアミックスの路線を推し進める。11月5日から、iモードなど携帯電話向けのニュース配信を手がけるニュース・サービス・センター(東京都千代田区)が提供する携帯サイトに、「話題のキーワード」というショッピングコーナーを設ける。例えば「マイナスイオン」というキーワードに関連する商品を毎週、約15アイテム掲載して販売する、といった具合だ。

(聞き手は永井 学=日経ネットビジネス)