オムロンとモバイルキャストテレマティクス(東京都港区)は10月22日、車載情報端末のプラットホーム事業で提携したと発表した。携帯電話のモジュールを内蔵した自動車用汎用情報サーバーを開発し、専用データセンターを設けてコンテンツを配信する。この仕組みをパッケージ化して自動車メーカーやオーディオ機器メーカーに導入を働きかけ、メーカー純正の情報端末に対応していない乗用車や商用車向けに広めていく考えだ。

 まず2003年春にも、音楽や音声情報のダウンロードサービスを有料で開始する(写真、試作品のイメージ)。提供するのは約80チャンネルの音楽やニュースなどで、データは車載した情報サーバーにダウンロードし、ハードディスクに保存したうえで再生する。2003年末には映像コンテンツや地図情報の配信、緊急時のロードサービスなども提供する予定だ。通信インフラとしてはKDDIの第3世代携帯電話サービス「CDMA 2000 1x」を利用するが、無線LANやブルートゥースなども使えるようにする。通信料金は未定だが、利用料に含める見通し。
 
 両社が提供するプラットホームには、コンテンツ配信用データセンターの利用と車載情報サーバーのハードウエア、通信インフラ、課金と顧客情報管理の仕組みがパッケージ化されている。自動車メーカーやオーディオ機器メーカーは、このパッケージを自社の機器と組み合わせるだけで、情報配信サービスを提供できる。ユーザーにとっては、メーカーや車種の枠にしばられずに情報配信サービスを受けられるメリットがある。

 モバイルキャストテレマティクスの赤池英二社長は、「年間登録台数のうち3大自動車メーカーを除く210万台と、純正機器の取り付けが出来ない車種がターゲット」と説明。トヨタ自動車の「G-BOOK」や日産自動車の「カーウイングス」などとの共存は可能とみており、2006年までに乗用車と商用車を合わせて100万台への導入を目指している。

(瀧本 大輔=日経ネットビジネス)