「ドメイン名『goo.co.jp』の使用権はNTT-Xにある」――。ポップコーン(岡山県倉敷市)がNTT-X(東京都千代田区)と争っていた裁判で、東京高等裁判所は10月17日、原告であるポップコーンの控訴を棄却した。

 「goo.co.jp」を巡る両社の争いは、これでNTT-Xの3連勝となった。最初の裁定は、ドメイン名紛争処理機関の日本知的財産仲裁センター(旧工業所有権仲裁センター)が下したもの。2001年2月5日にNTT-Xの申し立てを認めて、ポップコーンに対してドメイン名をNTT-Xへ移転することを命じた。これを不服としたポップコーンが東京地方裁判所へ出訴したが、東京地裁も2002年4月26日にこの訴えを棄却していた。

 通常、ドメイン名の使用権については、先に登録したものが優先的な使用権を持つ“先願主義”が原則である。しかし今回の東京高裁の判決は、東京地裁に引き続き、先願主義の原則を退け、後から登録した商標を持つ企業に使用権を認めた。というのも、東京地裁、東京高裁ともに、ポップコーンが運営するWebサイト(http://www.goo.co.jp/)にアクセスするユーザーをアダルトサイトなどへ自動的に転送する行為が、NTT-Xの検索サイト「goo」(http://www.goo.ne.jp/)のユーザーの誤りに乗じたもので、不正な目的での使用に当たると判断したからである。

 ポップコーンが、問題の「goo.co.jp」を登録したのは1996年8月16日。一方のNTT-Xが、混同されやすい「goo.ne.jp」を登録したのは1997年2月12日である。1997年1月28日には「goo」を商標出願し、1999年1月8日に商標登録している。

 現在のところ、ポップコーンが上告するかどうかは不明。ただ、同社にとって状況はかなり厳しくなったと言える。

(太田 憲一郎=日経ネットビジネス)