東京ビックサイトで開催されている「アジア・ケータイ・カンファレンスJAPAN」(10月16~17日、「WPC EXPO 2002」と同時開催)で、新潮社、ジーンズメイト、ロッテの3社が、携帯電話を活用したビジネスの成功体験を語った。

 新潮社は、2002年1月から始めた「新潮ケータイ文庫」について報告した。約1万人の購読者を獲得し、低迷を続けている小説雑誌に代わって新作小説を発表する場としての価値が高まりつつあるとしたうえで、「2対1の割合で女性が多いことや好きな作家の傾向など、ケータイ文庫の購読者層が紙媒体とほぼ一致している」(パーソナル事業部の村瀬拓男次長、写真上)点を評価した。従来の電子メディアでは中高年男性が圧倒的に多いなど、リアルなビジネスに結び付けにくかったことに比べると大きな違いだという。

 ジーンズメイトは、2001年4月から実施している携帯電話のクーポンキャンペーンの効果を報告した。同キャンペーンは、会員の携帯電話に向けて、1万5000円の商品購入で3000円を割り引くなどの「クーポン」をメールで送り、店舗への来店を促進させるというもの。「クーポンを利用した経験がある顧客の年間購買金額は、経験がない顧客に比べて1.7倍。またキャンペーンの持続効果は新聞折り込みチラシよりも明らかに高い」(濱中眞紀夫・経営企画室長、写真左下)といったマーケティング効果の詳細を披露した。

 またロッテは、「ガーナミルクチョコレート」の購入者全員に携帯電話の着信メロディをプレゼントするキャンペーンの結果について語った。このキャンペーンは2001年9月から2002年2月の約5カ月間にわたって実施したが、「累計アクセス数は約400万件、着メロのダウンロード数は約200万件。売り上げは前年比の200%増で、一時は商品在庫がなくなるほどだった」(ロッテ・アドの第二制作部の保科隆志課長、写真右下)。さらに、応募者の3割が30代、40代で占めるなど比較的高い年齢層への訴求効果も得られ、「売り上げが低迷していた定番商品を活性化できた」(保科課長)とした。

 なお17日には、「コンテンツ・ビジネスを脅かすハードルと対策」と題して、KDDI、モトローラ(中国)、京セラコミュニケーションシステム、韓国SKテレコム、NTTドコモのキーパーソンによるパネルディスカッションを開催する予定。

(安井 晴海=日経ネットビジネス)