賃貸マンションを運営するレオパレス21は9月13日、8月からエリア限定で提供しているブロードバンドサービス「LEO-NET」を10月1日から全国展開すると発表した。LEO-NETは、同社の賃貸マンションの入居者に、インターネット接続、CS放送の再配信、ビデオ・オン・デマンドの「デジタル・レンタル・ビデオ」――の3つを提供するサービス。同社が管理する約20万室の物件のうち、初年度に約3万室をLEO-NETに対応させる。

 レオパレス21は現在、同社が管理するマンションに対して、光ファイバーやADSLを利用した高速なネットワークインフラの構築を進めている。この光ファイバーやADSLを導入したマンションが、LEO-NETを利用できる物件になる。利用を申し込んだ入居者は、レオパレス21が配布する専用のセットトップボックス(STB)をパソコンにつないでインターネットに接続したり、テレビにつないでCS放送の視聴やビデオ・オン・デマンドを利用する。

 今回の目玉となる「デジタル・レンタル・ビデオ」は、利用者がSTBを操作して見たいタイトルを選ぶと、その場でオンデマンドで映像を受信して視聴できるサービス。既にタイムワーナーエンターテイメントジャパン(東京都港区)やギャガ・コミュニケーションズなど約20社と契約しており、約3000タイトルの配信権を取得している。「ハリー・ポッターと賢者の石」「A.I.」「マトリックス」などの映画作品や、吉本興業の「吉本新喜劇」などのビデオ作品を月に約200本配信する計画だ。

 STBは韓国のIT'S TV社のものを採用し、マンション内のネットワーク構築はソリトンシステムズ(東京都新宿区)、デジタル・レンタル・ビデオサービスのネットワークとシステム構築はNTTコミュニケーションズに委託した。STBで配信する映像のフォーマットはMPEG-2で、転送レートは3.5Mビット/秒程度。ADSL向けには、独自コーデックを使って700kビット/秒程度に落すが、画質は3.5Mビット/秒と同程度を確保できるという。また、米マクロビジョン社と提携し、配信映像のコピーを防止する技術をSTBに盛り込んだ。

 LEO-NETの基本料は月額3000円。さらにデジタル・レンタル・ビデオの利用には、1本につき200~600円のレンタル料金が別に必要。レオパレス21の深山英世常務は、「日本最大のビデオ・オン・デマンド・サービスを目指す」と意気込む。初年度に20億円、3年間で約50億円を投資する計画で、2005年度にLEO-NET事業の単年度黒字化を目指している。

(永井 学=日経ネットビジネス)