ソニーは、JR東日本のIC乗車券/定期券「Suica」などで知られる近接型非接触ICカード技術「FeliCa」を発展させ、FeliCaと互換性を持たせた新技術「NFC(Near Field Communication)」を、デジタルカメラやパソコンなどの機器に内蔵し、機器間の無線通信インターフェースとして使う計画を進めている。同社は「2004年ごろの実用化を目指している」(FeliCa事業部事業推進部の今里直アライアンスマネジャー)という。

 現在、FeliCaの通信速度は211kビット/秒。しかし、NFCでは約30倍の6Mビット/秒まで高速化が可能だ。そこでソニーは、例えばパソコンやデジカメ、MP3プレーヤーなどにNFCを内蔵して、互いの機器を近づけるだけで画像データや音声データを転送できるようにしようと考えている。今里直アライアンスマネジャーは、「今、20~30センチのUSBケーブルでつないでいるものは、ほとんどNFCに置き換えられるだろう」と自信を示す。

 これらの機器をインターネットにつなぎ、FeliCaを使った電子マネーの「Edy」をかざせば、電子決済もできるようになる。音楽や動画コンテンツをダウンロードして、その場で決済することも可能だ。

 こうした技術を実現するため、9月5日、ソニーはオランダのロイヤルフィリップスエレクトロニクス社と提携し、NFCの開発推進と規格化を共同で進めることで合意した。

(平野 亜矢=日経ネットビジネス)