鷹山は8月26日、100%子会社であるマジックメール(東京都豊島区)が提供するPHSサービス「東京アステル」の基地局を利用した公衆無線LANサービス「Bit Stand」を、来春以降に商用化することを発表した。

 Bit Standは無線LAN通信規格の802.11bに準拠したもので、通信速度は2Mビット/秒。商用化に向け、2002年9月下旬から新宿、渋谷などで実験サービスを開始する。また2002年10月下旬から東京都板橋区で、通信速度64Kビット/秒のデータ通信サービスの実験も開始する。

 Bit Standと定額制データ通信サービスはともに3カ月間程度の実験期間の後、2003年春以降に商用サービスを開始する予定だが、具体的な料金は未定。鷹山の高取直社長は、定額制データ通信の料金に関して、「PHS事業者のDDIポケットが提供する同様のサービスを意識した価格を設定する」と説明する。

 Bit Standの2Mビット/秒という通信速度は、ソフトバンクグループやNTTコミュニケーションズなどが提供する通信速度11Mビット/秒の無線LANサービスと比べると低速だ。しかしBit Standの場合、首都圏に10万カ所あるPHS基地局をそのまま無線LANの基地局として利用できるため、サービスエリア拡大の面で強みがある。

 ソフトバンクグループやNTTグループなどは、無線LANの基地局設置場所として外食チェーンなどを巻き込んで陣取り合戦を繰り広げている。これに対し基地局設置場所の心配はいらない鷹山は、「他のホットスポット事業者の動向を見極めて、ビジネス戦略を考える」(高取社長)と余裕の構え。PHSの通話サービスとのセット料金などで、メリットをアピールできれば、後発の鷹山が先行する大手を脅かす可能性もありそうだ。

(太田憲一郎=日経ネットビジネス)