東京都国分寺市は7月25日、個人情報保護法案が成立しない場合には、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)への参加を見合わせることを決めた。住基ネットは8月5日に稼働する予定だが、仮に個人情報保護法案が成立しないまま運用が始まった場合、国分寺市はシステムを住基ネットに接続しない方針だ。

 国分寺市の星野信夫市長は、「まず法を整備するべきで、できないのなら延期か凍結すべきだ」と指摘している。今後は国会での法案審議の経過を見守ったうえで、8月5日までに改めて態度を表明する考えだ。

 国分寺市市民課は今回の決定について、「住民は住民票を頻繁に取得するわけではないし、北海道や沖縄から取得することも少ない。情報漏えいのリスクを取るよりも、市民の個人情報を守る方が大切」と説明する。

 法によって住民の個人情報が守られないまま住基ネットが稼働することに対して、地方自治体の不安は広がっている。総務省には地方自治体から住基ネットの稼働を延期するよう求める声が相次いで寄せられている。

 しかし、政府にとって住基ネットの整備は、電子政府や電子自治体の計画の生命線だ。地方自治体の足並みがそろわないまま稼働に踏み切るのかどうか、今後の政府の対応が注目される。

(瀧本 大輔=日経ネットビジネス)