ソフトバンクが、ADSLを利用した放送事業に乗り出す方針であることが明らかとなった。関係者の話によると、既にグループのブロードメディア・ティービー企画(東京都渋谷区)が、通信回線を利用して放送を行うために必要な電気通信役務利用放送法の登録申請を行っている。順調なら7月中にも登録が完了する。

 同サービスは、ヤフーが提供しているADSLサービス、「ヤフーBB!」のユーザーを対象とする。テレビとADSL回線は、専用のSTB(セット・トップ・ボックス)で接続する。STBは、韓国のサムソン電子製の採用が有力だ。実現すれば低価格での有線テレビサービスの提供が可能となり、CATV事業者などにとって驚異となりそうだ。

 ソフトバンクグループは、2001年9月に「ヤフーBB!」をパソコン向けに開始して以来、IP電話や無線LAN、オンラインゲームなどサービスの幅を広げ、新規ユーザーを獲得する戦略をとってきた。放送サービスも同じ戦略上にある。

 グループの中間持ち株会社の一つで、放送・メディア関連事業を統括するソフトバンク・ブロードメディア(東京都渋谷区)広報室の今村憲二郎氏は、「指摘されるようなサービスを検討しているのは確かだが、開始時期や料金などの詳細についてはまだ発表できる段階にない。放送法の登録申請の有無やSTBの調達に関してはノーコメント」としている。

(河野 修己)