インターネットイニシアティブ(IIJ、東京都千代田区)と電力系通信会社のパワードコム(東京都中央区)は7月18日、事業統合に向けた協議を始めたことを明らかにした。ネットワーク技術に強みがあるIIJと、電力会社による全国光ファイバー網を持つパワードコムの両社が組み、ブロードバンド事業を軸にNTTグループに対抗する。
 
 IIJは、国内のプロバイダーとして草分け的存在で、企業や消費者向けのデータ通信サービスなどを展開している。パワードコムは、東京電力や関西電力など全国の電力10社が出資している法人向けデータ通信会社。IIJが持つ技術力と、電力会社の光ファイバー網を組み合わせることで、企業向けを中心にブロードバンドサービスを展開する。 合併や持株会社方式などによる統合を検討しており、2002年末をめどに事業統合の方向性を固める。

 パワードコムのグループ会社には、東電系の地域通信会社で一般消費者向けネット接続サービスも展開している東京通信ネットワーク(TTNet、東京都港区)があり、パワードコムと2003年4月にも合併する。IIJグループには、企業向け高速データ通信会社のクロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)があり、同社も巻き込んだ事業再編に発展する可能性が高い。
 
 これらの企業が統合すれば、全国に広がる光ファイバーのインフラと、企業と消費者の両方にサービスを提供するブロードバンドサービス企業が誕生する。IIJの鈴木幸一社長は「通信の世界でNTTに対抗し得る存在になる」と話しており、NTTグループに真っ向から対抗していく考えだ。

(瀧本 大輔=日経ネットビジネス)